スピッカートに入社するまで、私は制作物に対して何か感じたことはありませんでした。

電車の中の広告のポスターやチラシ、飲食店のメニュー表、街中の看板。
もちろんウェブサイトに対して何か『感想』を抱いたことすらありませんでした。

強いて言えば、『見やすい』『見にくい』くらいは思ったことはあったかもしれませんが、記憶に残っていないので大したことではないのでしょう。

そんな無頓着だった私も、ウェブ制作会社でデベロッパーとして働き、さまざまな制作物に触れることで、まったく違う価値観を持つようになりました。

電車の広告は隅々までみるし、飲食店のメニュー表の項目の配置は気になるし、看板も読み上げずに観察するようになりました。

よく言う表現で、『今まで灰色だった世界に色がついた』的なことを聞きますが、それに近いものを感じます。

『世界にはさまざまな制作物が溢れていて、それを感受できることはより人生が華やかになる!』と思うようになりました。

ただ逆を返せばそれは、『素晴らしい制作物から自分自身も良いものを制作しないといけない』というプレッシャーを常に感じるということです。

この感受性を手に入れた今、たとえ看板や広告など制作物のない森林に行ったとしても、良いものを制作しないといけないというプレッシャーは感じ続けるのでしょう。

それでも、ひたすらにこのプレッシャーに耐え続け、吸収し、学んでいくことで成長できるんだろうなとも思っています。

このプレッシャーはもはや太陽で、浴び続けることで成長するか枯れるかは自分次第。

そんな気がしています。

だからこそ、この太陽から逃げることはできないし、逃げてはいけない。

むしろ太陽が昇り続けていてくれる限りは、常に太陽に向かって走り続けよう。

娘からもらった感謝の手紙を浴びながら、そんなことを考えていました。