デザインは言葉が8割。
デザインは見た目だけでなく、背景や意図、コンセプトを言葉にできなければ意味がないということ。
入社してすぐの頃、代表の細尾から教わった言葉です。
その言葉を聞いて、ギクっとすると同時に相手がいる仕事なのだと気づいた瞬間でした。
それ以来、必ず「説明できるデザインになっているのか」を自分に問いかけるようにしています。
どんな目的でこのデザインにしたのか、なぜこの色を選んだのか。
デザインの目的や意図を常に考えながら、筋道立てて説明できるように心がけています。
直感的な感性と論理的な思考
とはいえ、言葉で説明できることに意識が向きすぎると、どこか物足りなさや面白みに欠けてしまうことがよくあります。それは、論理的に考えることばかりになってしまって、直感的な感性を意識したデザインができていないことなのかもしれません。
仕事である以上、理屈抜きに考えることはできませんが、「好き」や「なんか良いな」といった感覚も、確かな判断軸のひとつです。日々の選択を思い返してみると、「あのカフェに行ってみたい」や「この映画見てみよう」といった行動を決めるときは、感情や直感によって決まっているのではないでしょうか。デザインも同じで、理屈を超えて「直感的に惹かれる」感覚こそが、人の心を動かす力を持っていると感じます。
ただ忘れてはいけないのは、自分の感覚だけで作るのではなく、届けたい相手の感性に寄り添うことをです。その人はどんなものを良い思うのか?人それぞれの感覚に寄り添い、クライアントのらしさや価値観を可視化して、論理的な思考によってかためていくことが大切なのだと思います。
AIによるクリエイティブの可能性
最近はAIを活用することで、業務の負担を軽くできる場面も増えてきました。
仕事を奪われるのではないかという不安がある一方で、個人的には言葉を考えるときにAIを使うことが多く、今では手放せない存在になっています。
私の場合は、まずは方向性が見えてきた段階で手を動かして表現を探り、完成の形が見えてきたところでAIを使いながら、コンセプトを整えていくようにしています。そうすると、言葉に縛られることなく、より自由な表現が生まれやすいという気づきがありました。
表現として最も良いかたちが見えてきたタイミングで、初期に思い描いていたコンセプトと完成したデザインをつなげるように、AIとともに言葉を整えていきます。そうすることで、点と点だったものがひとつの面になり、細部まで行き届いたコンセプトへと仕上げていくことができるのです。

見る人の心を動かすデザインにつながっていく
感性と論理のバランスを大切にしてきましたが、今はAIが論理面を支えてくれるおかげで、より感性を軸にしたクリエイティブに集中できるようになったと感じています。
会社や人が持つ雰囲気、価値観や「何を良いと感じるか」という感覚といった感性に寄り添いながら丁寧にかたちをつくっていく。そのプロセスこそが、見る人の心を直感的に動かすデザインにつながっていくと信じています。
感性で惹きつけ、論理で裏付ける。
そんな誰かの背中をそっと押せるようなクリエイティブを目指していきたい。
これからも日々の試行錯誤を楽しみながら、心に残るデザインをつくり続けていきたいと思います。